オブジェクトストレージとは?
オブジェクトストレージは、大量の非構造化データを管理するためのストレージ方式です。デジタル機器やインターネットの利用が増えることで、ますます多くの非構造化データが生成されています。ソーシャルメディア、検索エンジン、モバイル機器、IoTなどが大きな要因となっています
増え続ける情報量の保存と管理という課題に対応するため、テラバイトやペタバイト級の拡張可能なストレージオプションを提供するオブジェクトストレージは、データのアーカイブやバックアップに適したソリューションとなっています。従来のファイルベースやブロックベースのストレージと比較して、オブジェクトストレージは非構造化データの保存と管理のための費用対効果が高く、効率的なソリューションです。
オブジェクトストレージの主要な機能
メタデータとタグ付け
クラウドオブジェクトストレージは、各オブジェクトにメタデータを関連付けることで、ユーザーがデータを簡単に管理、検索、取得できるようにしています。
データの不変性
クラウドオブジェクトストレージは、コンプライアンスや規制上の要件を満たすために必要な、長期間のデータ保持が可能です。
マルチテナント型
クラウドオブジェクトストレージは、複数のクライアントで使用できるため、ホスティングプロバイダーやSaaSプロバイダーにとって有用です。
データライフサイクルの管理
クラウドオブジェクトストレージは、ホットストレージ層からクールストレージ層またはコールドストレージ層にデータを自動的に移動することができます。一定期間が経過した後に、オブジェクトストレージは自動的に古いオブジェクトを削除することで、全体のストレージコストを削減できます。
アーカイブとバックアップ
クラウドオブジェクトストレージは、アクセス頻度は低いが長期的に保持する必要があるデータの保存に使用できます。これは、ディザスタリカバリや、法的あるいはコンプライアンスの目的に有効です。
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オブジェクトストレージの仕組み
オブジェクトストレージのアーキテクチャ
オブジェクトストレージは、データを階層型ファイルシステムのファイル単位やブロック単位ではなく、オブジェクトという単位で扱います。オブジェクトは、データそのものと、関連するメタデータで構成されます。
一般に、クラウドオブジェクトストレージのアーキテクチャは、スケーラブルで復元力があり、耐障害性に優れるように設計されます。システムの分散型の性質により、水平方向のスケーリングが可能で、システムにオブジェクトストレージノードを追加することで、より多くのストレージ容量を追加することができます。データは複数のノードに分散されることで耐久性が確保され、データオブジェクトはどのオブジェクトストレージクライアントからもアクセスできます。また、S3互換のAPIなど、共通のAPIを使用することで、幅広いクライアントやアプリケーションからアクセスできるようになっています。
オブジェクトストレージとファイルストレージとブロックストレージの比較
ファイルストレージ
ファイルストレージは、ファイルとディレクトリを持つ階層的なファイルシステムでデータを整理します。データはファイルに格納され、ファイルはフォルダにまとめられ、ディレクトリとサブディレクトリの階層構造で配置されます。一般的なプロトコルとしては、Windowsベースのシステム用のServer Message Block (SMB) やCommon Internet File System (CIFS) 、UnixやLinuxで使われるNetwork File System (NFS) があります。
ファイルストレージは、ユーザー数が少なく、データの量や種類を整理しやすい場合に有効です。
ブロックストレージ
ブロックストレージは、ブロックレベルストレージとも呼ばれ、ファイルストレージの代替となるものです。ファイルを同じサイズのデータブロックに分割し、それらをStorage Area Network (SAN) ストレージサーバーにホストされたLUNなどの専用ブロックストレージに保存します。クライアントは、ディレクトリやファイル階層を移動してアクセスする代わりに、データブロックにアクセスして取り出し、ファイルを再構築します。ブロックストレージにアクセスするためによく使われるプロトコルには、iSCSI やFibre Channelがあります。
ブロックストレージは、仮想マシンやトランザクション処理データベースなど、より高いIOPS性能を必要とするアプリケーションに最適です。
オブジェクトストレージ
ファイルストレージやブロックストレージといった従来のストレージ方式とは異なり、オブジェクトストレージはデータをファイル階層やストレージブロックで整理せず、データをオブジェクトと呼ばれる個別のユニットとして扱います。オブジェクトストレージは、RESTful APIによってアクセスできるので、最新のアプリケーションアーキテクチャに簡単に統合できます。
オブジェクトストレージは、動画や音声、テキスト、画像、その他のマルチメディアファイルなどの非構造化データの保存と管理に最適化されています。拡張性と可用性に優れ、ペタバイトスケールのデータを扱うことができるため、大量のデータを保存、管理する必要がある組織に適したストレージ方式です。
オブジェクトストレージのメリット
スケーラビリティ
クラウドオブジェクトストレージは、柔軟に拡張、縮小できるよう設計されており、必要に応じてストレージ容量を簡単に追加または削除することができます。その無限の拡張性により、大規模なデータのストレージや分析に適しており、データサイロの問題を解消するのに役立ちます。
耐久性
クラウドオブジェクトストレージシステムは、データを複数のサーバーや地理的に異なる拠点に複製することで、高い耐久性を発揮するように設計されています。
高い費用対効果
クラウドオブジェクトストレージシステムは、従量課金制または予約容量ベースで利用できるため、従来型のストレージシステムよりも一般的に費用対効果が高くなります。
アクセス性
クラウドオブジェクトストレージシステムは、HTTPやS3などの標準的なプロトコルのサポートにより、データの共有やアクセスが容易になるように設計されています。
セキュリティとコンプライアンス
クラウドオブジェクトストレージシステムは、細かなアクセス制御機能をもち、データを安全に保ち、データプライバシー法制に準拠した形で利用できます。
ユースケース
オブジェクトストレージには、いくつかの一般的な利用が考えられます。
バックアップとディザスタ リカバリ
オブジェクトストレージは、他のオブジェクトに影響を与えることなくオブジェクトを追加、削除、変更できるため、大量のデータを長期にわたって保存および取得することが容易です。また、データ損失を防ぐ冗長性やデータ保護のメカニズムが組み込まれており、高い可用性を発揮するように設計されているため、ディザスタ リカバリにも有効です。
クラウドネイテイブアプリケーションストレージ
クラウドネイテイブアプリケーションはコンテナ化、サーバーレスなどの技術を必要とし、データや状態を共有して内部で通信しているため、クラウドオブジェクトストレージはクラウドアプリケーションの開発に適しています。ユーザーは、クラウドベースのオブジェクトストレージを永続的なデータストアとして使用し、どこからでも好きなだけコンテンツを追加し、アクセスすることができます。オブジェクトストレージは、画像、動画、音声ファイルなどの非構造型データを大量に保存することができます。メディアファイルはAPIやウェブインターフェイス経由でアクセスできるため、メディア企業はウェブブラウザやモバイルアプリなど複数のプラットフォーム向けにコンテンツを管理、配信できます。さらに、オブジェクトストレージはコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)と統合することで、エンドユーザーへのコンテンツ配信をより速く、より効率的に行うことができます。
データレイク
データレイクアーキテクチャでは、オブジェクトストレージは大規模なデータボリュームを変換や前処理をすることなくネイテイブフォーマットで保存、管理するために使用されます。オブジェクトストレージの無制限の拡張性と高い耐久性により、経済的で拡張性のある方法で、さまざまな種類のデータを保存して分析することができます。さらに、さまざまなビッグデータの処理フレームワークと容易に統合でき、保存されたデータに対して直接分析や機械学習のワークロードを実行することが可能です。
アーカイブ
オブジェクトストレージは、アクセス頻度の低い大量のデータを保存するための、低コストでスケーラブル、かつ信頼性の高いソリューションを提供します。また、オブジェクトストレージシステムは、高い耐久性と可用性を発揮できるように設計されており、必要に応じてデータを簡単に復旧することができます。大量のデータを長期間保存する必要がある組織にとって、ドライブストレージと比較して、オブジェクトストレージはより効率的で理想的なアーカイブソリューションとなります。
ストレージソリューションに対する拡張性、柔軟性、コスト効率を重視する業界は、オブジェクトストレージを利用することでそのメリットを最大限活用できます。
メディア、エンターテイメント
オブジェクトストレージは、画像、動画、音声ファイルなどの大量の非構造化データの保存と管理に広く使われています。
ヘルスケア、ライフサイエンス
オブジェクトストレージは、患者記録、研究データ、臨床画像など、機密性の高い大量のデータを安全に保存して管理することができます。
小売、Eコマース
オブジェクトストレージは、大量の顧客データや商品データの保存と管理に使用でき、小売業者やEコマース企業に拡張性と費用対効果の高いソリューションを提供します。
政府、公共機関
オブジェクトストレージは、従来のストレージシステムのような高いコストをかけずに、大量のデータを長期間保存できるため、政府や公共機関にとって理想的なソリューションとなります。また、オブジェクトストレージは、不変性 (イミュータビリティ) に代表される機能により、法令遵守にも有効です。
モノのインターネット (IoT)
IoTデバイスは、センサーデータ、画像、動画など、保存、処理、分析が必要な非構造化データを大量に生成することがあります。メタデータオブジェクトストレージは、刻々と変化し増え続けるIoTデータの収集に基づいて、インサイトを得てより良い意思決定を行うために使用することができます。
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